家計の節約に取り組もうと思っても、何から始めればいいか分からない方は多いでしょう。やみくもに食費を削ったり我慢ばかりの節約をしたりしても長続きしません。効果的な節約には正しい順番とコツがあります。
ここでは節約初心者が最初に取り組むべきポイントを、具体的な方法とともに紹介します。無理なく続けられる節約術を身につけて、貯蓄できる家計を目指しましょう。
まずは家計の現状を把握しよう

節約を始める前に、自分が毎月いくら使っているのかを知ることが大切です。何にどれだけお金を使っているか分からなければ、どこを削れば良いかも分かりません。
簡単でいいので家計簿をつける
家計簿と聞くと面倒に感じるかもしれませんが、最初から完璧を目指す必要はありません。スマホの家計簿アプリを使えば、レシートを撮影するだけで自動的に記録できるものもあります。
まずは1ヶ月間、支出を記録してみましょう。現金だけでなく、クレジットカードや電子マネーの支払いも含めて全体を把握することが重要です。総務省統計局の家計調査では全国約9千世帯の家計データが公開されているので、平均的な支出と比較してみるのも参考になります。
支出を固定費と変動費に分ける
家計簿をつけたら、支出を「固定費」と「変動費」に分類してみましょう。この分類が節約の優先順位を決める鍵になります。
| 分類 | 特徴 | 主な項目例 |
|---|---|---|
| 固定費 | 毎月ほぼ一定額が発生する支出 | 家賃、住宅ローン、保険料、通信費、水道光熱費、サブスク料金 |
| 変動費 | 月によって金額が変わる支出 | 食費、日用品費、交際費、娯楽費、医療費、被服費 |
一般的な目安として、収入の45%を固定費、35%を変動費、残りの20%を貯蓄に回すバランスが理想的とされています。現状と比べてどうでしょうか。
固定費の見直しから着手する
節約初心者が最初に取り組むべきは、間違いなく固定費の見直しです。変動費と違って一度見直せば自動的に節約効果が続くため、効率が良いからです。
固定費見直しのメリット
- 一度手続きすれば長期的に節約効果が続く
- 生活の質を下げずに支出を減らせる
- 我慢やストレスが少ない
- 年間で数万円から十数万円の削減も可能
食費を削ろうとすると毎日の献立に悩んだり、安い食材を探して複数のスーパーをはしごしたりと、継続的な努力が必要です。一方、スマホプランを変更すれば手続きは一度だけで、その後は何もしなくても節約できます。
見直しやすい固定費トップ5
固定費の中でも、特に見直しやすく効果が大きい項目を優先的にチェックしましょう。
1. スマホ・通信費
大手キャリアから格安SIMに乗り換えるだけで、月々3,000円から5,000円程度の節約ができます。年間では36,000円から60,000円もの差になります。家族全員で乗り換えればさらに効果は大きくなるでしょう。
2. サブスクリプションサービス
動画配信、音楽配信、雑誌読み放題など、気づかないうちに複数のサブスクに加入していませんか。クレジットカードの明細を確認して、使っていないサービスや重複しているサービスは思い切って解約しましょう。
3. 保険料
生命保険や医療保険に加入している場合、必要以上の保障内容になっていないか確認が必要です。ライフステージの変化に合わせて保険も見直すべきですが、何年も放置している人は少なくありません。
4. 電気・ガス料金
電力会社やガス会社を切り替えることで、年間数千円から1万円以上節約できる可能性があります。現在は自由に選べるようになったので、比較サイトで料金プランを確認してみましょう。
5. ジムや習い事の会費
契約したものの実際にはほとんど通っていない施設はありませんか。利用頻度と費用を天秤にかけて、コストパフォーマンスが悪いものは解約を検討しましょう。
変動費は無理なく工夫する

固定費の見直しが済んだら、次は変動費に目を向けます。ただし、変動費の節約は生活の質に直結するため、無理は禁物です。
変動費節約のポイント
- 買い物前にリストを作り、衝動買いを防ぐ
- セール情報をチェックして計画的に購入する
- ポイントカードやキャッシュレス決済の還元を活用する
- 外食とコンビニの利用頻度を見直す
特に外食費とコンビニでの買い物は、気づかないうちに積み重なりがちです。週に何回利用しているか数えてみて、そのうち1回を自炊や手作りのお弁当に変えるだけでも効果があります。
削ってはいけない支出もある
節約というと「とにかく支出を減らす」と考えがちですが、すべてを削る必要はありません。趣味や人との交流、自己投資など、自分にとって大切なものには適度にお金をかけましょう。
メリハリのある家計管理こそが、ストレスなく節約を続けるコツです。「ここは節約する」「ここはお金をかける」という区別をはっきりさせることが大切です。
貯蓄の目標を設定する
節約した分を確実に貯蓄に回すためには、明確な目標設定が効果的です。「なんとなく貯めたい」では、つい使ってしまいがちです。
短期・長期の貯蓄目標を立てる
- 短期目標: 1年以内に達成したい貯蓄(旅行資金、家電の買い替えなど)
- 中期目標: 3~5年後の貯蓄(車の購入、結婚資金など)
- 長期目標: 10年以上先の貯蓄(教育資金、住宅購入、老後資金など)
目標が決まったら、それを達成するために毎月いくら貯める必要があるか逆算してみましょう。具体的な数字があると、節約へのモチベーションも高まります。
先取り貯蓄を実践する
給料が入ったら、貯蓄分を先に別口座に移してしまう「先取り貯蓄」がおすすめです。残ったお金で生活すれば、確実に貯蓄できます。
銀行の自動積立定期預金や、会社の財形貯蓄制度を利用すると、自動的に貯蓄できるので楽です。貯蓄が苦手な人ほど、仕組みを活用しましょう。
節約を習慣化させるコツ
最初は順調でも、だんだん面倒になって元の生活に戻ってしまう…そんな失敗を防ぐための工夫を紹介します。
小さな成功体験を積み重ねる
いきなり大きな節約を目指すと挫折しやすくなります。まずは月に3,000円、5,000円といった小さな目標から始めて、達成感を味わいましょう。成功体験が次の節約へのやる気につながります。
定期的に見直す習慣をつける
家計は一度見直せば終わりではありません。ライフスタイルの変化に合わせて、3ヶ月ごとや半年ごとに見直す習慣をつけましょう。クレジットカードの明細を確認する日を決めておくのも効果的です。
家族で情報を共有する
家族がいる場合は、節約の目標や進捗状況を共有することが大切です。一人だけが我慢していると不満が溜まりますが、みんなで協力すれば楽しく続けられます。
専門家の力も活用しよう
自分だけでは判断が難しい場合、ファイナンシャルプランナーなどお金の専門家に相談するのも一つの方法です。
特に住宅ローンや保険の見直しは金額が大きく、専門知識が必要な分野です。無料相談サービスを提供している企業もあるので、活用してみるのも良いでしょう。
続けられる節約が一番の節約
節約初心者が最初に取り組むべきは、固定費の見直しです。一度の手続きで長期的な効果が得られ、我慢やストレスも少ないため、確実に続けられます。
変動費の節約は固定費の見直しが済んでから取り組みましょう。そして何より大切なのは、無理なく続けられる範囲で行うことです。極端な節約で生活の質を下げてしまっては本末転倒です。
まずは現状把握から始めて、できるところから少しずつ改善していきましょう。小さな積み重ねが、やがて大きな貯蓄につながります。