毎月の給料日が来るたび、「今月こそは貯金しよう」と思いつつ、気づけば口座残高が心もとない…そんな経験はありませんか?実は、お金が貯まらない最大の原因は「先に使って余った分を貯金する」という考え方にあります。
家計をうまく回すには、収入を割合で分けて管理するのが効果的。一般的によく知られているのは「5:3:2」や「6:2:2」といった黄金比率で、これは生活費・予備費・貯金の順番で振り分ける方法です。
ただし、この比率はあくまで目安であり、家族構成やライフステージによって柔軟に調整することが大切になってきます。
世帯タイプ別の理想的な割合とは

独身か夫婦か、子どもがいるかいないかで、適した比率は大きく変わります。
総務省の家計調査によると、単身世帯の平均支出は月約15万5,000円、2人以上世帯では月約27万9,000円となっています。
| 世帯タイプ | 推奨割合 | 貯金率の目安 |
|---|---|---|
| 独身・共働き夫婦 | 生活費50% / 予備費30% / 貯金20% | 20~30% |
| 子育て世帯 | 生活費60% / 予備費20% / 貯金20% | 15~20% |
| 低収入世帯 | 生活費70% / 予備費20% / 貯金10% | 10%以上 |
子どもがいると教育費や食費がかさむため、生活費の割合が高くなるのは自然なこと。それでも将来の教育資金や老後に備えて、最低でも収入の10~20%は貯金に回したいところです。収入が少ない場合でも、10%を死守することで年間を通じて確実に資産を積み上げられます。
「先取り貯金」が成功の鍵を握る
理想の割合がわかったところで、次は実践方法。ここで登場するのが「先取り貯金」というテクニックです。給料が入ったその日に、貯金分を別口座に移してしまう。残ったお金だけで生活する。たったこれだけのシンプルな仕組みが、貯金習慣を劇的に変えてくれます。
自動化で「貯まる仕組み」をつくる
銀行の自動積立や給与天引きの財形貯蓄を活用すれば、意志の力に頼らず確実に貯金できます。
人間の意志は案外弱いもので、「今月は使いすぎたから来月多めに貯めよう」と思っても、なかなか実行できないのが現実。最初から自動で別口座に移る設定にしておけば、貯金したことを忘れて生活できるため、無理なく続けられるわけです。
- 定期預金・積立預金を活用:生活費口座とは完全に分けて管理し、簡単には引き出せない環境をつくる。
- キャッシュレス決済を味方に:ポイント還元を活用すれば、実質的な支出を減らして貯金額を増やせる効果がある。
- 家計簿アプリで可視化:支出をリアルタイムで把握できると、無駄遣いに気づきやすくなり自然と節約意識が高まる。
特に家計簿アプリは、カード連携機能があれば入力の手間もかからず、支出の傾向がグラフで一目瞭然。自分の消費パターンを客観的に見つめ直すきっかけになります。
生活費を見直すなら固定費から攻める

貯金額を増やすには、支出を減らすことも重要な戦略。ただし、食費を極端に削ったり娯楽をすべて我慢したりすると、ストレスで長続きしません。効果的なのは「固定費の見直し」です。
削減効果が大きい固定費の例
固定費とは毎月ほぼ同じ金額が出ていく支出のこと。一度見直せば効果がずっと続くため、コストパフォーマンスが非常に高いのが特徴です。代表的なものには、家賃・住宅ローン、通信費、保険料、水道光熱費などがあります。
| 項目 | 見直しポイント | 削減効果 |
|---|---|---|
| 通信費 | 格安SIMへ乗り換え | 月3,000~5,000円 |
| 保険料 | 不要な特約を解約 | 月2,000~10,000円 |
| 水道光熱費 | 電力・ガス会社の変更 | 月1,000~3,000円 |
たとえば大手キャリアから格安SIMに変えるだけで、月に5,000円ほど浮くケースも珍しくありません。年間で考えると6万円の節約になり、これはそのまま貯金に回せる金額。小さな見直しの積み重ねが、やがて大きな資産形成につながっていくのです。
削ってはいけない3つの項目
一方で、節約してはいけない支出もあります。それは「貯蓄」「食費」「保険料」の3つ。貯蓄を削れば将来の安心が失われ、食費を極端に減らせば健康を害するリスクが高まります。
保険も、万が一のときに家族を守るセーフティネットとして必要最低限は確保しておくべきでしょう。バランスを崩さない範囲で、メリハリのある節約を心がけることが大切です。
自分に合ったバランスを見つけよう
結局のところ、「これが絶対正しい」という万能な比率は存在しません。住んでいる地域、家族構成、年齢、収入、ライフプラン…これらすべてが絡み合って、一人ひとり最適な割合は変わってくるからです。
大切なのは、まず「5:3:2」や「6:2:2」といった目安をベースに家計を組み立ててみること。そして数ヶ月間実際に生活してみて、苦しいところや余裕のあるところを見極めながら微調整していく。この試行錯誤のプロセスこそが、自分にぴったりのバランスを見つける近道になります。
収入の10~20%を貯金に回せるようになれば、将来への備えは着実に進んでいると考えて良いでしょう。無理のない範囲で、長く続けられる仕組みづくりを目指してみてください。