家計において「この支出、もっと減らせないかな」と感じることは少なくありません。支出を大きく2種類に分けて捉える「固定費」と「変動費」を整理することで、無駄を削りやすくなります。
以下では、固定費・変動費それぞれの特徴を押さえたうえで、見直しのステップや実践的な節約方法を紹介します。
固定費と変動費の違い

まず、固定費と変動費の違いを理解します。
固定費とは何か
固定費は、毎月または定期的に発生し、支出額がある程度予測・安定している費用を指します。例えば家賃、保険料、通信回線の基本料金などが挙げられます。
こうした支出は「必要最低限」の生活維持に関わるため、簡単に削りにくい傾向があります。
変動費とは何か
変動費は、支出額や発生頻度が状況によって変わる費用を指します。たとえば食費・外食費・趣味・交通費など、使い方次第で金額を調整できるものです。前述の資料では「変動費は頻度・金額ともに変化しやすい費用」と説明されています。
支出を分類するメリット
支出を「固定費/変動費」に分類することには次のようなメリットがあります。
- 「何にどれだけお金を使っているか」が明確になる
- 削りやすいポイント(主に変動費)が見つかる
- 収入・支出のバランスを把握しやすくなる
たとえば「今月収入からこの固定費を差し引くと、余裕ある金額はどれくらいか」が把握できれば、残りをどう使うか・貯めるかの見通しも立てやすくなります。
見直しのステップ
実際に節約を始めるにあたって、段階的な手順を追うことで無理なく成果を出しやすくなります。
ステップ1:支出の把握
まず、直近1~2カ月の家計を振り返り、出費をすべて記録します。固定費・変動費それぞれ項目を列挙します。例として次のような表が役立ちます。
| 費用名 | 金額/月 | 固定費/変動費 | 見直しの余地 |
|---|---|---|---|
| 家賃 | 80,000 | 固定費 | 住居条件の見直し検討 |
| スマホ通信料 | 8,000 | 固定費 | プラン変更・格安SIM検討 |
| 食費(自炊+外食) | 40,000 | 変動費 | 外食回数の削減・まとめ買い |
このように可視化することで「この支出は固定/この支出は変動」という整理が進みます。
ステップ2:固定費の見直し
固定費は金額が安定している分、削るのが難しい印象がありますが、以下の方法で改善できる可能性があります。
- 住居条件を再検討する(賃料の安い物件への引越し、家族と共有など)
- 保険・通信・サブスク料金を見直す(不要なサービスの解約・プランのダウングレード)
- 公共料金・ローン金利など条件変更が可能か確認する
こうした見直しは一度手を入れれば「毎月必ず発生する支出」が減るため、長期的な節約効果が高くなります。
ステップ3:変動費のコントロール
変動費に関しては「自分の意思で変えられる」支出が多いため、工夫次第で節約効果が出やすいです。例えば:
- 外食を減らし、自炊中心にする
- 買い物前に「これは必要か」と立ち止まる習慣をつける
- 交通費・ガソリン代を削るために徒歩や自転車を活用する
- 趣味や娯楽の頻度を見直し、低コストの楽しみを探す
変動費を月ごとに記録・比較し、「先月より〇%減」という目標を設定すると効果が見えやすくなります。
実践に向けたポイント

実践段階では、次のようなポイントを押さえるとスムーズです。
目標設定を明確にする
「毎月10,000減らす」「年間で固定費を120,000削る」など明確な目標を立てると行動に移しやすくなります。目標を定めたうえで支出を見直すクセをつけましょう。
定期的に振り返る
月末などに「先月と比較してどうだったか」を振り返る習慣を持つことが重要です。分析のために、家計簿アプリやノートなどを活用すると手間が減ります。例えば「家計簿方式」が挙げられます。
無理をしすぎない
あまりに急激な節約を目指すとストレスになり続かない可能性があります。まずは少しずつ改善できるところから手を付け、習慣化を目指すと良いです。
よくある落とし穴と対処法
節約を進める際、気をつけたい落とし穴があります。
- 固定費だけに注目して変動費を放置する → 結果として支出が減らない
- 変動費ばかり削ろうとして必要な支出まで減らしてしまう → 生活の質が下がる
- 目標設定が曖昧でモチベーションが続かない
対処法としては、固定費と変動費両方のバランスを意識すること、必要経費と削減可能な費用を明確に分けることが挙げられます。
習慣化の大切さ
支出を「固定費」「変動費」に分類し、それぞれ見直すことは節約の第一歩です。
固定費は削減まで時間がかかる場合がありますが、効果が長期に渡って現れます。変動費は調整しやすく、即効性があります。両者をバランスよく管理し、無理のない範囲で見直しを続けることで、家計の健全化が期待できます。
家計の見直しを習慣化すれば、収支のコントロール力が高まり、将来にわたってゆとりある生活につながる可能性があります。